上智大学法学部卒業生の皆さんの「学生時代の思い出」を不定期に掲載しています。あんな人、こんな人、いろんな人が登場しています。
第4回目は宇佐美諭さんです。
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大学を卒業して40年余り。卒業間近の1ヶ月ほど、寝袋と柔道着を持って出掛けたヨーロッパとモロッコの旅が忘れ難い。旅行会社に勤めていた柔道部の先輩から、格安航空券があるので行ってみないかと誘われたのがきっかけである。親に頼み、費用は工面できた。
ユーレイルパス(乗り放題ヨーロッパ鉄道パス)を利用し、パリからノルウェーのベルゲンまで北上、その後スペインまで南下し、モロッコまでジブラルタル海峡をフェリーで横断する、自由気儘な一人旅であった。雪の積るベルゲンではホームシックを経験した。スイスではアルプスの雄大な風景が気に入り、インターラーケンに数日滞在した。
日本を発つ前、柔道部の先輩からモロッコ在住の日本人柔道家を訪問するよう依頼されていたので、首都ラバトにあるその方の自宅横の道場で1週間ほど稽古をした。奥様はアルジェリア人で料理上手、朝食に出してくれた子羊の料理は全く臭みがなく、羊肉へのイメージを一新した。その間、車に同乗し、カサブランカにも柔道の練習に行った。オリンピック選手もおり、柔道が盛んなのに驚いた。
今振り返ると、若いからできた大胆でハードな旅であったが、この体験を通じて視野が世界に拡がり、後の人生の大きな糧になった。その2年半後に直面した米国での勤務も臆することなく、乗り切ることができた。今振り返れば、あの旅で出会えた全ての人に感謝したい気持ちで一杯である。
宇佐美諭(うさみ さとし)
法学部 法律学科 1975年3月卒
元 上智大学体育会柔道部OB会 会長
上智大学ソフィア会 常任委員
上智大学法学部同窓会 副会長
(いずれも写真の一番左が宇佐美さんです)