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サイバーエージェント人材開発本部長、曽山哲人さんに聞く「これからのキャリア形成」とは? ~Q&A編~


ネオソフィアンでは、2015年6月18日(木)にサイバーエージェントで人事開発本部長を務める曽山哲人さん(98英文卒)をお招きしてトークイベントを開催いたしました。

前回の記事では、インタビュー編をお送りいたしました。
今回は曽山さんの採用基準、人事理念や私生活についてQ&A形式でお伝えいたします!



※ 経歴紹介: 曽山哲人とは?

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- 1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。
- 1998年伊勢丹に入社、紳士服配属とともに通販サイト立ち上げに参加。

- 1999年、20名程度だったサイバーエージェントに入社。 インターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。 

- 2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任、2008年から取締役を6年務め、 2014年より執行役員制度「CA18」に選任され現職。 

- 2015年に人材開発本部を新設し、人材開発本部長就任。 著書に「クリエイティブ人事」、「最強のNo.2」など。




【インタビュアー】
司会: 金谷武明 (95 法法卒 / 写真中央)
アシスタント: 上田まな (仏文 在学中 / 写真左)

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人生の選択を行っていく際に大切にしていることは?


曽山: 地味で堅実にやる。言っていることが大きく、していることも派手という人の多くはいずれいなくなっていくことが多いです。ベンチャー経営者でもたまにいます。ネットバブルの2000年に注目を集めたベンチャーは多かったですが、殆どの会社が消えてしまったのが現実です。
逆に、大きなことを言っていても、それに向けて地味で堅実な努力をすることが出来る人は優秀です。

金谷: 優秀な人材の定義って...ああ、そういえばブログのタイトルがそんなタイトルですよね。

曽山: 私のブログ「デキタン」ですね(笑)。できるヤツを探求するというタイトルです。

金谷: 探求できたんですか?

曽山: まだ出来てないので、人材開発本部を作って探求しようとしています(笑)。


することがたくさんあるときの対処法


上田: しなければならないことがたくさんある中で、どのような基準ですべきことを見極め、どういった観点で実行タイミングを決めていらっしゃいますか。

曽山: 基本的には大きな1つを決めるのが鉄則です。だめな人は全部しようとしますが、殆どは1つできる人と全部できない人に分けられます。一番大きな1つをすると決めて、あとは余裕があったらする。1つできる人は2個目もできます。私は仕事が忙しくなってくると、すべきことを紙に書き出して一番重要なものを決めます。

上田: 優先順位をつけるということでしょうか。

曽山: 1番だけを決めます。優先順位をつけている時間はありません。私も昔はしていましたが上手くいかなくて、ある日、1番だけ決めて、それが終われば帰ろうと決めました。1番をすることにだけ集中するととてもすっきりします。2,3番は1番を終えてから決めます。

上田: 1番を決めることが大事なんですね。

曽山: 結果的には優先順位ができますが、とにかく1番を決めることです。Aは今日、Bは明日、・・・と決める人もいると思いますしこれはこれで悪くないのですが、だめな人はAが10個くらいあります。



人生の野望は?


上田: 人生の野望、絶対に成し遂げたいことはありますか。

曽山: 私の夢は、世界で最高レベルの人材育成企業を作ることです。今後数十年かけてサイバーエージェントが世界トップの人材育成会社になるというのを目指して頑張っています。そのためにもGEやP&Gだけでなく、海外の企業も研究しています。
 

大企業かベンチャーか


上田: 曽山さんにとって、働くこととは何ですか。ベンチャー企業と大手企業のメリットとデメリットを教えてください。

曽山: 生きた証を残したいので、働くことを通してそれができればよいなと。

大企業かベンチャーかというのは、自分で決めなければいけません。どちらにも良い会社、悪い会社がありますから、この二択で選ぶのは賢明ではありません。敢えて言うなら決断経験を得られる環境に行くのがおすすめです。大企業でもそういう場はあるでしょうし、ベンチャーでも全くのワンマン経営で社員が活躍できない会社もあります。自分の決断をできる会社を探した方がいいと思います。
 

どういう人を採用したいか


上田: どういう人を採用してきましたか。コミュニケーション力と実績のどちらをより重視されますか。

曽山: どちらも見ません。当社の採用基準は「素直で良いやつ」というキーワードひとつです。素直で良い奴ならキラキラ女子でも寡黙なオタクでも良いです。みんなが一緒に働きたいと思うことが重要です。採用するときに、自分のチームで働きたいとか、部下として一緒に働けるかどうかで選んでほしい、それで違和感があれば採らなくていいと話しています。

金谷: 本当にそれで通っていますか。

曽山: 通っています。

金谷: 意見が割れた場合はどうなりますか?

曽山: 1人でもダメと言ったら採らないというわけではありません。他の面接官がみんな良いと言っていて、人事である僕らが良いと思っていると他の面接官に会ってもらうことなどもあります。実際に良い奴かどうかはわかりませんが、入社した人たちを見ていると本当に良い奴が多いと思っています。
 

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大学生に求められる姿勢とは


上田: 現在の大学生に求める姿勢などがありましたらアドバイスをお願いしたいです。

曽山: 自分にチャレンジして、会ったことがない自分に会ってほしいですね。研究をたくさんして新しいものを見つけた自分でもいいですし、留学をして知らない社会に触れた、部活に夢中になった、などでもいいです。知らない自分にたくさん会っていることも価値だと思います。大きな意味で言えば思いっきり遊んで欲しいです。遊びは勉強でもあるので、チャレンジしてほしいです。ネットゲームで外からは退廃的な生活のように見える生活を送っていても、その世界で1番の自信があれば当社では採用したいです。


人生で一番つらかったこと


上田: 事前に頂いていた最後の質問です。人生で今までで一番つらかった体験がありましたらお聞きしたいです。

曽山: 1億円の損失を出したことは本当に洒落になりませんでした。毎日お客様が会社に来て、押し問答していたら、お前は要らないから社長を出せと言われて。そのトラブルから11年経って、最近になってその方にお食事の機会をいただき、熱い握手とともにお酒を飲み交わして、良い思い出にすることができました。

金谷: 先方はお幾つくらいの方ですか。

曽山: 少し上の人です。仕事ができるだけでなく、とても素晴らしい仁義のある方です。最終的に会社として謝罪し、その後も発注をいただけてそのお客様のおかげで私たちも成長することができました。

そのお客様は今もその会社で活躍されており、当社との取引も継続いただけていて、感謝しています。
 

目標とのつきあい方 


参加者: 少し無謀で高い目標を決めてそれに向かっていくか、それとも今の仕事は何かを考えてそれを一所懸命にするのか、どちらが大切ですか。

曽山: どちらがかっこいいですか。

参加者: 高い目標を掲げるほうがかっこいいです。

曽山: それなら、そちらの方がいいと思います。ぜひがんばってくださいね。


裏で努力することとその評価


参加者・学生: 僕は努力を人に見せるのが嫌いです。裏で努力しているつもりですが、評価してくれる人もいないので、自分でその努力を認めることができません。まだまだ足りないと思うことがよくあります。曽山さんはそのようなことがありますか。どのように考え方を変えて取り組んでいらっしゃいますか。

曽山: 努力しているのは素晴らしいです。手ごたえが解らないときは、評価する人からフィードバックを貰った方がいいですよ。例えば、自分が一年目や二年目ならリーダーに、今の自分の努力が足りているかを聞くだけでいいです。成果を出せる人ならいいけれど、そこまで伝わっている自信がまだないなら、自分の努力が足りているかを聞いた方がいい。殆どの人はそれを聞く勇気がありません。自分では努力していると思っていても周りの人はそう思っていないかもしれない。足りていないかもしれませんし、努力の仕方を間違えていることもありますので、リーダーのポジションの人に尋ねた方がいいと思います。

参加者: こんな努力をしていますが足りませんかと聞けばいいでしょうか。

曽山: 普通に聞けばいいです。自分は努力をしているつもりですがこれで足りていますかと。率直に聞けば返事も率直なので良いです。仕事でもそうです。頑張っていていい仕事もしたのになぜ評価されないんだろうというのはよくある話です。それを直接上司に聞いてみると、意外にもそれぞれが大事にしている場所がずれていたことに気づかされます。そういうときは自己中心的に自分を評価しているんです。上司も何を評価するかを言うべきですが、評価軸を上と合わせるのは部下の義務でもあります。お互いの関係なので、聞いてみるといいですよ。


司会者になりたい!


参加者・学生: 僕は司会をできる人になりたいと思っています。司会の得意な曽山さんにお伺いしたいのですが、司会をする際に、何を一番意識していますか。

曽山: 自分を動画で撮影してそれを見ると良いと思います。プレゼンテーションも一度リハーサルをして撮ると良いです。私は外部の講演をすることも多く、初めは不安だったので会議室に一人で入って最初の挨拶から全部録画して見ました。「えー」とか「あの」とか何回も言っているので、直しては撮って見ていました。


堅実な人の具体例


参加者: 大きな事を言うけれどしていることは堅実な人が良いというお話について、具体例がありましたら。

曽山: 大きなことを言っていてすることが堅実というのは、社長の藤田もそのひとりだと思います。藤田は21世紀を代表する会社を創るとビジョンに掲げています。SONY、トヨタ、ホンダが20世紀の代表なら次は僕らだという、曖昧で抽象的で大きなビジョンです。ただ、そのビジョンに向けて、藤田自身日々の地道な仕事を堅実にやっています。例えば1年目の社員との企画会議にも藤田が出ます。アメーバブログを立ち上げたときは彼が責任者をしていて、数年間は利益が出なかったのでかなり叩かれていましたが、来年これでダメだったら自分は退任しますと株主総会で言いました。翌年黒字化し、算段はあったでしょうが、彼が自分で事業をして結果を出したということです。社長だから俺は経営だけ、という人とは違います。


社員のやる気を出させる方法


参加者: 社員のやる気を出させることについて、今までで一番効果的だったことをぜひ教えてください。

曽山: やる気になるために必要なのは本人の意思の力を引き出すことです。本人の意思が変わらなければやる気は出ません。私たちがした中で効果的だったのは、飲み会代の補助です。当社は2003年に人事制度の強化をするという決断をしました。それまで社員同士は基本的に仲が悪く、飲みに行くことはありませんでした。飲みに行っても愚痴が多かったので私は行きませんでした。あるとき退職率改善のために退職率が低く優れたチームの様子を調べたところ、食事を頻繁に行っていることが判りました。安直ですが、まずは飲み会代を出して飲みに行ってもらって関係性を良くしようということになりました。懇親会支援制度は部署で行くことが条件で、一人あたり月5000円出しました。当時は赤字でしたから全社員に5000円を出すというのはかなりの決断でしたが、そのくらいの危機意識がありました。社員同士の仲と退職率が悪くては業績も上がらないので。
翌月に持ち越しできない制度にしたのでみんな行くようになりました。お酒が苦手な人にとっても5000円あれば美味しい食事ができるので行くようになりました。1000円では失敗だったと思います。飲みに行けば必然的に話すので、お互いの共通点が増えて信頼関係も高まり、結果として退職率が下がってやる気も上がりました。飲み会がすべてのソリューションではありませんが、当社の当時の状況においてはそれが合っていました。

金谷: 誰と行くという制約はありますか。

曽山: 部署で行きます。それをきっかけに役員がいろいろな部署の社員と飲みに行くようになりました。毎週、昼1-2回と夜1-2回は1人の役員が行っているので、5人のメンバーで行くなら20人、4週間続ければ80人、1年続けると1000人近くになります。つまり、1人の役員が年間で1000人くらいと飲みに行っていて、8人役員がいるので8000人ののべ社員と会っていることになります。役員と話せばやる気になります。


曽山さんがしている努力


参加者: 曽山さんが今されている努力は何でしょうか。また、著書を読んで、人事制度をマッピングして、それを元に次の人事制度を考えていると書いてありましたが、順番をどう決めていますか。

曽山: 陰の努力については、私は放っておくといつでも仕事のことを考えてしまうくらい仕事が好きですので他の人より考えている時間は多いかもしれません。習慣としてはビジネス書をかなり読んでいます。月に10-20冊は確実に読んでいます。ただし読むといっても、1冊30分ルールというのを自分で決めていて、30分で目次を読んだりぱらぱら見たりして面白い場所があるかどうかを探す仕分け作業をします。土日になると目の前に5-6冊置いて、2-3時間でその仕分け作業をします。面白いキーワードがあれば線を引いて、その後に読む本と読まない本を決めます。熟読したい本は5-6冊のうちに1冊あるかないかです。

人事制度のマッピングについては、A4の紙一枚に人事制度を書いています。縦軸はお金の報酬と、やる気・楽しいなどの感情報酬です。横軸の右は事業プランコンテストなどチャレンジする人事制度、左は婦人科検診の補助など安心する人事制度を入れて、マッピングしていました。今は人事制度が充実してきたのでマップは殆ど使っていません。挑戦する人事制度で感情が満たされる人事制度は一番効果が高いので、かつてはそこを増やすようにしていました。CA8、あした会議も右上です。


休日の過ごし方と家族について


参加者: 休日の息抜きやご家族とのコミュニケーションについてはどのようなことをされていますか。

曽山: 結婚していて、妻は外資系の消費財メーカーでマーケティングをしています。化粧品のマーケティング担当で昨年7月からシンガポールに赴任しています。それまでは結婚から6年くらい日本で一緒に住んでいました。月に1回くらいはシンガポールに行ったり妻が日本に来たりしていて、ほぼ毎日Skypeで話しています。仕事でSkypeを使うとみんなで会議になりますが、家で使うと1対1になるので新鮮です。

休みについては、土日はジム、マッサージ、鍼に行き、ゴルフのレッスンを受けて、本を読んでいます。友人と飲みに行くこともあります。どちらかというと私は一人でいることが好きな方です。仕事で人と沢山話すので、土日はゆっくりします。



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インタビューを終えて....


金谷: 曽山さんのインタビューはインターネット上に結構たくさんあるのでそれと被らないように色々工夫したのですが、実際色んな引き出しがあって他にはない楽しいインタビューになったと思います。なんでもにこやかに対応していただき、ありがとうございました!今度は決断経験を書き出すワークショップをぜひ企画しましょうw

上田: インタビューする側でありながら、思わず聞く事に没頭してしまうほど、曽山さんのお話はとても興味深いものでした。何年後かには社会人になる者として、これから生きていくヒントを沢山もらえた気がしています。曽山さんのお人柄もとても素敵で、インタビューさせていただけたことを嬉しく思います。

曽山: 少人数ならではの雰囲気で、質疑応答がとても楽しかったです。みなさんと一緒にまるで議論をしているような、素晴らしい時間でした。





曽山哲人さん、お忙しい中のご講演ありがとうございました。


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