2020年4月アーカイブ

今日はハルビン学院に関する新しい本のご紹介です。
ロシア語学科とその卒業生はハルビン学院顕彰基金などの関係で、半ば学院の後継者のような立場にいますが、学院の歴史および上智大学ロシア語学科との関係を簡潔に(100ページ程度)紹介する本が出ましたので、推薦します。
 飯島一孝著『ハルビン学院の人びと』群像社、ユーラシア文庫16、900円です。
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かつてのユーラシア・ブックレット程度のヴォリュームです。アマゾンで扱っていますので、是非お申し込みください。

著者は東京外大ロシア語科卒、元毎日新聞記者で、モスクワ特派員も6年務めた人です。直接学院とは関係がありませんが、毎年高尾の記念碑祭にも出席する、学院に関心をもつ部外者のひとりです。

最近出版されて私も寄贈され(若干情報提供協力もしました)、ハルビン学院のことを知るための格好の本だと思いました。もちろん基本的資料としては恵雅堂出版の『哈爾浜学院史』がありますが、大部の本だし、一般向けではありません。また芳地隆之氏の新潮選書『ハルビン学院と満州国』も力作ですし、様々な関係者の回想録もあります(そのほとんどが個人的なものなので、学院の全体像を提供するものではありません)。ただ、今回の本は学院と関係者のことに絞って(あまり分析や評論をせずに)、その全体像が手ごろな長さにまとめられており、それでも創立期の社会情勢や後藤新平の人柄に始まって、上智の『ハルビン学院顕彰基金』に至るまで、もれなく書き込まれていて、よい意味で「手軽な」、しかし不可欠の入門的参考書になりました。

私も含めて、学院同窓生と年齢差のある人間にとっては、学院の存在は今ひとつわかりにくいものでした。今回の著者自身もそういう世代の人です。だからかえって情緒的な思い入れはなく、客観的に描かれています。私はこの本の宣伝を頼まれたわけではありませんが、上智ロシア語学科の関係者、特に教員や奨学金をもらった人間は、この程度のことは知っておいた方がいい、と思うものです。ぜひご購入のうえ、ご宣伝ください。

宇多文雄

写真など

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