2022年8月アーカイブ

『微笑みは永遠に−日本とロシアを愛したニコライ・ドミートリエフ神父』

ДА ПРЕБУДЕТ ВО ВЕКИ УЛЫБКА ТВОЯ!  Отец Николай Дмитриев, влюбленный в Японию и Россию

2022720日発行 教文館 定価本体1,500円+税)

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 著者は、学科23期の山崎ひとみさん。本書は著者が、夫・ニコライ神父との思い出をつづったエッセイ集です。著者が1985年に留学したレニングラード神学アカデミーでの二人の出会いから、日本に移住したニコライ神父が、2019年に函館市郊外の上磯ハリストス正教会で祈祷中に59歳で永眠し埋葬されるまでの出来事が、様々なエピソードやコメントを挟んで描かれています。

ロシア語はロシアの文化・歴史と不可分です。したがって、ロシアの国柄を知るにはどうしてもロシア正教についての理解が必要なのですが、案外このことは見落とされています。卒業生はもちろんですが、学科の学生のみなさんに特に本書をお勧めするのは、本書がロシア正教への優れた入門書となっているからです。

著者は、あとがきをこう締め括っています。


今年の2月24日(ロシアによるウクライナ侵攻)以降、ロシアを巡る世界情勢は大きく変わった。

「人が戦うことを赦されるのは、ただ一つの場合だけ----自分の心の中の悪魔との戦いだ」とよく言っていたニコライのことだから、今、彼がいたら、さぞ嘆き悲しんだことであろう。

争いのない和やかな日々が一刻も早く来ることを切に願う。



ぜひご一読を。

 

【著者よりの一言】

 この度、同窓会の皆様により温かいお力添えを頂き、拙書のご案内を頂けることとなりました。心より感謝申し上げます。

 夫の永眠に際し、人間の命の尊さとはかなさを思うと同時に、彼がこの世に生きていた痕跡を少しでもとどめたいと、追悼のエッセイを書かずにはいられませんでした。教文館さんから上梓することができましたので、彼が生きたロシア正教というキリスト教世界について踏み込んだ描写をすることができましたのは、さいわいでした。

 一人でも多くの方にニコライの人生に触れて頂ければ幸甚に存じます。

 心痛むことの多い社会情勢ですが、この場をおかりして、同窓生の皆様のご平安、ご健勝を心よりお祈り申し上げます。