「つくるI(キャリア形成I)」(10月23日)報告 ~医療情報ネットワークおよびシステムの創造~

 10月23日は、一般社団法人伊都医師会ゆめ病院事務長 久保田俊雄氏(数学科1969年卒業)が「医療情報ネットワークおよびシステムの創造」というテーマで講義を行いました。
 今回も210席の教室は満席となりました。
 コーディネーターの高橋和夫准教授の紹介の後、久保田氏は学生に語りかける口調で講義を始めました。ときおりジョークも交え、和やかな雰囲気のなか、講義が進みました。

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 以下に講義の概要を紹介します。

 まず和歌山県の伊都医師会の状況から講義が始まりました。
 二次医療圏である伊都地方では中核病院と100近いクリニックが存在しています。今までは病院内でLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)による情報網でした。今は病院だけでなくクリニックや調剤薬局、検査会社、訪問看護ステーションなども含むWAN(ワイド・エリア・ネットワーク)による地域全体で患者を診る方式に進んでいます。
 予防接種、アレルギー情報、病歴、自分や家族の使っている薬の情報などを地域全体で情報を共有し、IT技術でバックアップが取れていれば安心できます。たとえば東日本大震災のように病院のカルテが津波で流されてしまうことがあっても大丈夫なのです。そういうことを目指して作った病院がゆめ病院です。
 

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 そして講義は「なぜゆめ病院が必要とされているか」という話に続きます。毎年1兆円増えつづけ今や40兆円近い医療費の問題があります。実は医療費の約3割は重複検査や重複診療といわれています。医院同士の診療情報共有により、これらを減らし医療費の削減が期待できるのです。また療養型病院に長期入院している患者を退院させて在宅で治療することも医療費削減につながると厚生労働省が推奨していますが、その場合も情報共有が必要になります。訪問看護師がタブレット端末を操作しバイタルセンサーや正常時トレンドグラフを使い正確で効率的な看護サービスにつながります。さらに情報共有により、薬の間違いを減らしたり、医療過誤も減らして医療の質の向上も期待できます。
 情報共有を作るポイントとしては、人的連携が基本(ICT[インターネット・コミュニケーション・テクノロジー、あるいはインフォメーション・コミュニケーション・テクノロジー]はあくまでも連携支援ツール)、医師だけでなく多職種の連携、施設をまたぐデータ交換のため個人情報の守秘義務などがあげられました。とくにユーザーを巻き込みながらシステムを作る、作る側の立場よりも使う側の立場に作ることが何よりも重要であると強調されました。

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 さらに、これまでのゆめ病院の15年の歩みに移ります。
2000年の構想開始、2002年のゆめ病院開局からはじまり、2005年頃からネットワークのスピードが速くなり端末機器の性能もあがり、画像を電子カルテで見られるようになり、2010年は広域連携(和歌山県と奈良県)がスタートし、現在では登録患者数約8万、検体検査数約24万、画像送信患者数約2万の規模となっています。

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 今後の課題としては、ヘルシーなスマートハウスも目指しています。そのために理工学部の高岡研究室と共同研究を進めています。血圧計のデータをトレンドグラフにしてネットワークにつなげようという試みです。
 最後に上智大学理工学部同窓会からスタートした「医療情報システム研究会」の活動を紹介しました。この研究会には理工学部だけでなく看護、福祉、法律関係のメンバーも入り、皆でこれからの医療システムをかんがえていこうという試みです。

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 講義の後の質疑も学生から活発な発言がありました。最後にリアクションペーパーの課題が発表されました。自分がゆめ病院の院長なら何をやりたいのか、ゆめ病院の機能で嫌な物があれば書いてくださいという課題でした。学生たちから、率直なや意見が寄せられることを期待したいとのことです。

写真など

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