2021年4月アーカイブ

★主催:理工学部同窓会/理工学振興会

 昨年はコロナ流行の影響で中止しました産学技術交流会~「理系ソフィアンのつどい」~を今年はASF2021行事(オンライン開催)として参加することにしました。
 そこで、今年の「理系ソフィアンのつどい2021」は簡略化した内容でオンラインにて関連資料及び収録映像を閲覧して頂く形式で実施します。
 諸事情でライブ開催ではありませんが、同窓生・教職員・現役学生多数のアクセスを期待しています。
 企画の詳細が確定しましたら改めて行事内容とアクセス先のURLを本ブログにてお知らせします。

理工学部同窓会/広報委員会

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〔投稿者〕 北村柴乃(1990年電気電子工学科卒:金研究室):理工学部同窓会理事

 「卒業後を振り返る」

 卒業して31年となった。勤めている会社の歴史において数名だけしか女性管理職は存在していなかったのだが、この春からその指をもう一本折って、数に入れてもらえることとなった。
 大学を卒業した後一旦は進学して修士を目指したものの、「私の分の教育費用は学部卒業段階で使い果たした」と親に言われて始めた「働く大学院生」としての生活。その生活は私に「勉強だけしていれば何一つ苦労のない学生生活」と「働かなければ収入が無くて食べ物も買えない労働者生活」と言う両極端な世界を突き付けた。親からの仕送りをもらって大学院生生活を満喫している学友を横目に見ながら、住み込みのプリント基板工場で分けてもらった弁当を研究室でお昼として食べている様な生活。しかもその弁当は、一食分を半分に分けて二日分のお昼ご飯として大事に大事に食していたものだったから、こんなありさまは、進学を許した親にとって想像できない姿だったであろう。
 学生と労働者、そのギャップを日々双方向に渡り続けた生活により心も財布も一年半で破綻、現在勤めている会社に文字通り「拾われた」。それでもけじめとして、もらっていた奨学金は半額に減免してもらったものの毎月数万円ずつ返却(賞与時は10万円)したので初ボーナスは数千円だった。だから満額給与や賞与がもらえるようになった時の感慨は(人には言えないが)ひとしおだった。

 のほほんとした学部生時代、心が病んだ大学院時代を経てたどり着いた会社員生活だったので、借金はあれども、これからは「自分で稼いだ金で、自分で食べていける」と言う漠然としたい期待に胸が膨らむと同時に、学部卒業から会社に入るまでの一年半が他人はおろか自分自身でさえも触れたくない部分となってしまった。それからしばらくは四谷方面に足を運ぶ事もなかったし、大学時代の同期や後輩と連絡を取り合う事もほぼなかった(と言うか敢えてしなかった)。

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〔投稿者〕 武藤康彦(1975年機械卒) :理工学部同窓会副会長・学生支援委員長

 「よき時代の先生」

 私の大好きだった材料力学(材力)研究室のN先生は淡々といろいろなことを語ってくれる先生だった。その話はどれも面白くいつも議論は無限に発散し、話し終わるのがもったいなかった。昼休みの"材力サロン"は4,5名の教員が常連で、1日の中で最も楽しいひと時だった。N先生は技術史にも造詣が深く、毎月連載を書いていた。出来上がるたびに「今度はこれだよ」とわざわざ私の部屋まで原稿のコピーを渡しに来られ、いろいろ話をしたものだ。
 しかし、私が学生の頃のN先生の印象は飛び抜けて学生をびっくりさせるものだった。材料力学のある日の授業は戦時中の飛行機の話、仏像をX線で調査した話、それに本題の材力の話が織り交ざる。「君達はテレビで育っているので集中力が持続するのは15分なんだよ」が持論。残り40分くらいになると演習となる。黒板に問題を書くと「じゃあ、できたら私の部屋に出しておいてね」と言い残して帰ってしまう。えっ、帰るって? これだけでも駆け出しの学生にとっては衝撃的だ。"見捨てられた学生"達は適当にグループになり課題を解こうともがく。
 N先生は一般教育(全学共通)で当時社会問題だった公害論の授業を持っていた。私も履修したが、N先生の一番おもしろい部分が発揮された実に興味深い内容だった。そして期末試験。結構準備して臨んだ試験問題はこうだ。
 問1. あなたはこの半年間、公害について考えましたか。考えたらA、考えなければBと書きなさい。 (以上)
ざわつく教室を後にさっそく先生に文句を言いに行く。
「なんですか、あの問題は!」、
「いや、考えればそれでいいんだよ。」
「そんな・・・じゃあ、どうやって成績をつけるんです?」
「そりゃあ、Aって書いてあればAだよ。Bって書いてあればBだ。」
おー、なるほど・・・
たまに、先輩が大学を訪ねてくる。「今、会社で材力が必要なんだけど、材力はN先生だったからなぁ、何も分からないよ」と機械科特有のベタな冗談をいう。「そんなもの自分で勉強しなきゃだめだよ」とN先生のささやきが頭の中で聞こえる。


写真など

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