「つくるI(キャリア形成I)」(1月8日)報告~天然ガスを活用した環境都市の創造~

 

 1月8日は、東京ガス株式会社都市エネルギー事業部大嶋智一氏 (機械工学科1982年卒業)が「天然ガスを活用した環境都市の創造」というテーマで講義を行いました。
 講義に先立ち、質問形式で都市ガス事業の概要が紹介されました。1872年にガス灯に都市ガスが供給されて事業がスタートし、1969年からLNG(液化天然ガス)の輸入が始まりました。当時のオイルショックや公害問題への対応も可能なことから需要が拡大し、現在では世界最大のの39.2%のLNG輸入国となっていることなどが説明されました。

 以下に講義の概要を紹介します。

 

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教室全景

1.都市ガス概論
 都市ガスの製造・供給方式、用途別の割合、原料調達、都市ガスを取り巻く環境について説明されました。
 2013年3月時点で、東京ガスの顧客数は1100万件、地下に埋まっている導管の総延長距離は地球1.5周にあたる5万9600kmとなっています。
 天然ガス(主成分CH4)は、化石燃料の中で最も環境にやさしいエネルギーで、CO2、NOx、SOxの排出量が石炭・石油と比べて少ない優れた環境性が特徴であることや、今後は採掘技術の革新によりシェールガスをはじめとする非在来型天然ガスの生産が拡大され、可採年数は約4倍(237年)に伸びる可能性があることが示されました。

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2.業務用ガス機器
 業務用ガス機器は、CGS(コージェネレーションシステム)、空調、給湯、厨房に大別されます。
 CGS は、ガスエンジンで発電し、廃熱を回収して空調・給湯等に利用するもので、火力発電の総合効率40%に対し78.5%の高い省エネ性を実現するものです。さらにCGS、商用電力、非常用発電機、UPSの組み合わせによって電源の四重化が可能となります。耐震性の高い中圧導管によるガス供給とCGSによって、長期停電時においても電力供給が可能となり、防災性のメリットがあると紹介されました。
 空調は、セントラル方式と個別分散方式に分けられ、建物の規模が大きくなると電気よりガス方式の割合が増えることや、ランニングコストのメリットが示されました。
 また、環境に優しい水冷媒のナチュラルチラーの原理も説明されました。再生エネルギーの親和性も高く、太陽熱から得られる温水を利用し、冬場の暖房はもちろんのこと、夏場にソーラーナチュラルチラーを利用して冷水を作り、冷房を行うソーラークーリングシステムも解説されました。

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3.地域冷暖房
 地域冷暖房は、冷水や温水等を一箇所でまとめて製造し供給するシステムです。まとめて製造・供給することによって省エネルギーや省CO2などさまざまなメリットが得られます。

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 1970年2月、大阪千里ニュータウン中央地区で日本初の地域冷暖房供給開始され、1971年4月には新宿新都心地区熱供給開始されて、首都圏初の都市ガスによる地域冷暖房が稼動しました。1991年1月、新宿新都心地区地冷プラントが移設され、大規模CGS導入による省エネルギーと低NOx化(50ppm以下)を実現しました。2015年5月には、全国で78事業者が139事業を運営することになります。
 また、新宿新都心の地域冷暖房センターの規模は世界最大規模となることや、上智大学にもガス空調が導入されていることも紹介されました。

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4.スマートエネルギーネットワーク
 地域冷暖房の発展形ともいえるスマートエネルギーネットワークに関して、田町駅東口北地区の実例を紹介しました。

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 田町駅東口北地区の特徴としては、ITCの活用で建物とスマートセンターを連携し、エネルギー需給を一括管理・最適制御するSENEMSを日本で初めて導入したほか、再生可能エネルギー(歩行者デッキ上部に高温取出しが可能な真空管式の太陽熱パネルを設置することにより、従来の温水利用に加えてソーラークーリングシステムによる冷水供給が可能)、未利用エネルギー(近傍の地下トンネル水の熱特性を活かし、冬季は蒸気吸収HPの熱源水として活用し、夏季はスクリュー冷凍機の冷却水として活用)の活用によって高効率だけでなく環境性・防災性の向上も実現したスマートエネルギーネットワークを構築しました。また、開発が予定されている隣地の街区内に設置される熱源プラント間との冷温熱の面的融通も計画されており、更なるスマート化が期待されるとの説明がありました。

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5.都市ガスの安全性・防災性
 都市ガスの安全性・防災性への取り組みが説明が行われました。
 阪神大震災で道路や橋が崩壊しても中圧導管がガス供給の継続に支障が生じなかったのは、裏波溶接の採用や丈夫で伸びのある材料の採用による耐震技術です。
 世界最高レベルの地震防災システムSUPREME、世界でも類を見ない超高密度地震計SIセンサにより二次災害を抑制できる体制が紹介されました。東日本大震災の液状化範囲についても50mメッシュ単位で高精度に推定できました。

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 2014年7月に一部運用開始した「遠隔操作による地区ガバナの再稼働システム」や、万が一低圧ガス供給が停止した場合に臨時供給できる「移動式ガス発生設備」も紹介されました。
 さらに、都市ガス事業者の相互に復旧を応援する体制も、過去の大震災の事例をもとに説明されました。
 

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 最後に、大嶋講師は「天然ガスは、厨房、空調だけでなく環境に優しい街づくりに重要な役割を担っているエネルギーのひとつであり、さらに政府が推進している燃料電池や燃料電池車などの水素社会の実現にも大いに貢献できるポテンシャルを持ったエネルギーである」と強調して、講義を締めくくりました。

 

 

写真など

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