電気電子トリオが電気学会より顕彰

 上智大学理工学部名誉教授の金東海先生より、電気科卒業生への励みになればと思い同窓会へ以下の通りホットニュースをリリースしていただきました。

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2016年4月吉日
上智大学名誉教授
工学教育研究所所長
金東海

 先日の理工学部懇親会では、いろいろと話を聞かせていただきありがとうございます。
 それで同窓会報に是非載せていただきたい卒業生のニュースがありますので、よろしくお願いします。
 一般社団法人電気学会では、歴史的に記念すべき電気関連の業績を末永く皆さんの記憶に留めておくよう、「でんきの礎」という顕彰行事があります。すなわち、25年以上経過した「もの」「場所」「こと」「ひと」に関して、これは歴史に残すべき業績だと考えられる案件を皆さんから推薦していただき、審査の上、毎年数件を「でんきの礎」として認定し顕彰するものであります。実施して8年になり、今までに約50件の業績が顕彰されました。昨年度、私が推薦した「すべり周波数形ベクトル制御誘導電動機ドライブの実用化」(長たらしい名称ですが、要するに直流機と同じか、あるいはそれ以上の性能のドライブシステムを誘導機で実現したことを指す。いいかえれば、ブラシレスで直流機と同等の性能を実現したことであります。これが交流可変速駆動の時代の先駆けとなり、直流機の淘汰につながった)が認められ、平成28年度の「でんきの礎」の一つに選ばれました。これを企業で研究していたのは、上智大学電気電子工学科の金研で修士を1973年に修了して東芝に就職した黒澤良一君だったのがご縁で推薦したわけでございます。ところが、推薦に際し同時期に別の企業も同じ研究をやっていなかったかをスキャンしたところ、安川電機が浮上しました。これを担当していたのが奇しくも上智の三山研で修士を1975年に修了した澤俊裕君でありました。したがって、私を含む上智大学の電気電子トリオで今年度の「でんきの礎」の一つに名乗りを上げさせたわけでございます。
 この件に関する詳しいことは添付資料〔

電気学会「でんきの礎」2016年度.pdf〕をご覧ください。
 ここで、この件の技術がどのくらい重要かを説明しましょう。ベクトル制御誘導機の実用化は百年来の直流機のブラシレス化を悲願としてきた研究者にとってはエポックメーキング的な出来事でありました。この研究が発表された当時、高速エレベータ、圧延機、工作機械、エアコン、交通など、すべてのドライブ分野で応用された。しかし、その後、高性能の磁石の発明で、多くの分野では永久磁石同期電動機(PMモータ)を使うようになり、誘導機は忘れられようとしています。しかし、ある特定の分野では、例えば、電車駆動の分野では今でも99パーセントが誘導機を使用しています。誘導機がなければ、新幹線は300キロまで速度を上げるのに苦労したことであろう。このように研究者としては忘れられない出来事の一つでありますが、しかし、世間では忘れられようとしておりましたので是が非でも「でんきの礎」に推薦しなければならないと思いました。一年目の推薦は推薦文の書き方の不慣れで落選しましたが、二度目のトライで見事に合格しました。


以上

 

電気学会の「でんきの礎」顕彰を獲得した上智大学電気電子トリオ

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  (写真左側)黒澤良一君
          1973年修士課程修了(金研)、2004年博士(工学)取得(上智大学)
          東芝(株)元主幹
  (写真中央)金 東海 名誉教授
  (写真右側)澤 俊裕 君
          1975年修士課程修了(三山研)
          安川電機(株)元代表取締役専務執行役員

写真など

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