第11回ビッグデータ研究会

6月17日(月)に第11回ビッグデータ研究会が開催されました。前回が11月10日でしたのでしばらく間があいてしまいましたが、おかげさまで社会人7名、学生4名の計11人の方にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

今回のテーマは

 製薬協の知財フォーラムからの話題を紹介
 「AI/ビッグデータがもたらすライフサイエンス革命~未来の医療と将来の創薬、その可能性と課題~」

です。ご講演いただいたのは持田製薬株式会社の石川浩さんです。

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まずは医薬品の分類、製薬会社の売上規模、GDPに占める割合などの基本的なお話からです。参加者の皆さんは製薬業界について知らないで、改めてこういった話をまとめて聞くとともて面白いです。特に皆さんジェネリックの話には興味深々です。


大手の製薬会社はごく少数の薬に売上の大半を頼っていて、その薬の特許が切れる前に次のヒット商品を開発しなければいけないそうです。

しかし研究には非常に長い時間を要し、成功確率は極めて低いとのこと。そのため、経営には特許期間に基づいたライフサイクルを考慮する必要があります。

従来は、自社のロングセラー商品があるうちに次の新薬の開発ができていたのですが、最近はライフサイクルが短くなって新薬の開発が間に合わないため、より多くの研究チームで新薬の開発できるように会社同士で合併や買収が行われています。


そのような製薬業界ですが、意外にもビッグデータの活用は遅れているそうです。データ自体は膨大に溜まりつつありますが、電子カルテの標準規格がないため統合することができません。

また画像データなど機械的に生成されるデータを分析しつくせないようになっています。個人情報の管理の面からもデータの統合が進みません。


このため、東大病院、浜松医大病院、島根大病院、秋田大病院の4病院で進められている「医療ビッグデータと医用人工知能研究推進のための共通データベース基盤の構築」というプロジェクトが紹介されました。ここではデータを匿名化して一元管理し、4つの病院がアクセスできるようにするデータベースを構築しようとしています。


他にはライフ・インテリジェンスコンソーシアム(LINC)の取組みとして、IT企業と製薬・化学・食品企業等によるB2Bの取組みが紹介されました。まず、「Pre-Competitive Area」として製薬・医療・ヘルスケア関連企業等がIT企業と連携してモデル構築を行います。このモデルはコンソーシアム内の全員が利用可能です。さらに「Competitive Area」として各社が独自のインハウスデータを使ってモデルを改良し新薬の開発を行うという方法です。協調と競争によって開発を加速しようという取組みです。


また現在「AI=ブラックボックス」であるため、説明できるAIが求められているというお話が紹介されました。これは普段AIに接している皆さんなら共感できるのではないでしょうか。


最後に「データ知財」という考え方が紹介されました。データそのものは特許権の対象にはなりませんが、データ利用権は契約によって規定できるため、利害関係者の間できちんとデータ活用促進の観点から利用権を規定しましょうということです。



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今回は製薬業界というこれまでに出てこなかったテーマでとても勉強になりました。石川さん、ありがとうございました。

今後もビッグデータを通じて同窓生の絆を深めていきたいです。

研究会の後はいつも通りみんなで食事に行き交友を深めました。

次回は、10月7日に開催する予定です。



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井上俊一(1993年 電気電子卒)


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写真など

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