「会員の広場」第6回 津川 治(1973・数学卒)

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〔投稿者〕 津川 治(1973年数学科卒):理工学部同窓会副会長・事業企画委員長

「アクチュアリーとしての仕事の思い出」

 丁度大学を卒業する頃、日本では企業年金の普及・発展期で、金融機関ではその年金制度を管理・運営していく為に必要不可欠な資格であるアクチュアリーの養成・確保が急がれていました。
 そんな折り、4年生直前の頃まで「位相幾何学」に夢中で勉強していて大学院進学への道を考えていた私でしたが、数学科卒を募集していた銀行に出会い社会に出て数学を活かすという道に進む事にしました。入行後に業務命令に近い形でアクチュアリー試験に臨む事になったのです(後々、この事は私のサラリーマン人生に相当のプラスになり感謝の気持ちで一杯です)。
 日常の銀行業務をこなしながらアクチュアリー試験に合格すべく、時には子供を膝の上であやしながら勉強せざるを得ない場面もあったりして結構辛いものがありました。なお当時の試験科目は保険数学2科目、確率論、数理統計学、法律、経営の6科目でした。(今は会計学や投資理論なども試験科目に入ってきている様です)

 ここでアクチュアリー資格を持っての仕事について少し書いてみようと思います。
  各企業が年金制度を導入したり制度の変更をする場合に、各企業ごとに社員の統計を基礎に、その会社の年齢別退職率や給与の伸び率などを予測します。そして月々どの程度積み立てていけばその会社の年金制度の財政が破綻しないかを計算します(年金数理)。定年まで中途退職が殆ど無い企業も有れば、相当数途中で退職してしまう企業も有りで千差万別です。昇給傾向も様々で経営側の戦略がよく現れます。掛金は予測された企業の体質と年金制度内容をベースに計算されるのですが、企業としては掛金を外部拠出する事になるため、この掛金計算に敏感になり、アクチュアリー・行政・顧客の三者間での議論が激化する事もしばしばあったと記憶しています。更には年金給付の制度設計や、各企業の人事制度設計等の手伝いにも業務の幅を広げていける事もあり、退職給付コンサルタントとしての役割も担えました。
 日本の企業年金制度の特徴や、企業が目指す年金制度に法律が追い付けていないと感じた事もあったと思います。その度に行政側との遣り取りをして、企業の希望をどう叶えさせるかなどの役割も課せられる事もありました。
 多くの企業の年金制度の管理・見守りを行なっていく為、行政からも法律・政令等を立案・変更する際の様々な確認事項・相談事項も舞い込んで来る事もありました。民間の企業年金制度を良く知るアクチュアリーの立場から行政と共に企業年金の発展に寄与して来れたと今では感じています。

そのような仕事は大変ですが、遣り甲斐も大きいものがあると思います。
 私は年金アクチュアリーとして仕事をしておりましたが、年金アクチュアリーの他にも生保アクチュアリー、損保アクチュアリとしても活躍の場は有りますし、企業会計上の退職給付債務計算にもアクチュアリーが絡みますので監査法人で活躍されているアクチュアリーもいらっしゃいます。
 また年金アクチュアリーは厚生年金保険法に定められる年金数理人としての業務にも幅を広げて行けます。年金数理人は法に定められる諸条件を充足しなければなりません。その為、まだ全国で700人程度しかいない希少価値資格だと思います。
 アクチュアリー試験にチャレンジされてみては如何でしょうか。

詳しい情報の入手先
 アクチュアリー協会・・・http://www.actuaries.jp/ <http://www.actuaries.jp/
 年金数理人会・・・http://www.jscpa.or.jp/ <http://www.jscpa.or.jp/

写真など

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