「会員の広場」第12回 井上俊一(1993・電々卒)

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〔投稿者〕井上俊一(1993年電々卒):理工学部同窓会理事
                  (ビッグデータ研究会主宰)
 
「自己紹介とビッグデータ研究会の解説」

ビッグデータ研究会を主宰しております井上俊一(1993年電々卒)です。

この度、メールニュース 2022年秋号(第5号)にビッグデータ研究会のミニ解説を書きましたので、こちらでは私の自己紹介も含めてより詳しく書きたいと思います。

私が理工学部同窓会に携わったきっかけは同窓会ゴルフコンペです(笑)。当時の理事の方に声をかけていただき、私にも協力できることがあるのではないかと思って理事会に出席するようになりました。理事会の中では比較的若い方ですし、IT分野でずっと働いていたので、ITの面でも得意を活かせるのではないかと思っていました。

そのうち「研究会を作って同窓生を集めよう」という企画が出てきたので、同じ興味を持つ人同士で集まれたら楽しいな、と思い「ビッグデータ研究会」を立ち上げることにしました。
私はインターネットの黎明期から、インターネット業界で働いており、特にウェブ検索の開発をずっと行っています。

検索エンジンの品質を上げるにはビッグデータが不可欠です。インターネット時代になって、閲覧やクリックなどの大量の行動記録(ログ)が保存できるようになり、それらを活かしてサービスの品質をアップさせる機械学習の研究が盛んに行われるようになりました。

もう一つは人による評価(教師データ)の活用です。エディターと呼ばれる人が検索結果に一つ一つに点数を付け、高得点のものが上位に表示されるように様々なパラメーターを機械学習するというものです。

ビッグデータ+機械学習で検索エンジンの性能は格段によくなりました。私はヤフーでウェブ検索の開発を行なっていましたが、ご存じのとおり検索の巨人といえばGoogleです。事実上、勝者はGoogleだけになりました。詳しい人はご存じだと思いますが、現在では日本のヤフーでもGoogleの検索エンジンを使っています。ただ、検索結果にはウェブ検索以外にニュースやショッピングなど様々な要素があるため、パッと見は違うように見えます。しかしながら、ウェブ検索の部分だけに着目するとヤフーは全くGoogleと同じなのです。

ウェブ検索の開発は非常にお金がかかります。クローラーと言われるプログラムがインターネット上に存在するページを集めてこない検索エンジンが作れないからです。お金をかけてクローラーがページを集めてきても、その検索エンジンが利用されるかは分かりません。そのため非常に参入障壁が高いビジネスです。

このように以前はウェブ検索は金食い虫でしたが、検索連動型広告のおかげで今では最も収益性の高いサービスとなりました。Googleは世界で一番大きい広告の会社です。しかしながら、広告モデルが確立する前のGoogleも売上には苦労していました。当時のGoogleはヤフーに会社を買ってもらおうとしていたことは有名です。

どうやってGoogleが広告の立上げに成功したか、など詳しく書くときりがないのですが、いずれにしろウェブ検索の勝者が決まってしまったため、私はウェブ検索以外の検索エンジンの開発を考えました。

そこで、現在はECサイト向けの商品検索エンジンを提供する会社を経営しています。ECサイトあるいはショッピングサイトでもお客様が物を探すにはやはり検索エンジンが必要です。そのための検索エンジンを提供しています。

例えば、私達のお客さまにヨドバシカメラ様がいらっしゃいますが、現在700万商品以上を取り扱っています。700万商品の中から欲しいものを見つけるのに検索エンジンが必要なのは容易に想像できると思います。

ところで、ウェブ検索とECサイト検索の大きな違いはなんだと思いますか?

扱う対象が違うのでそもそも違うと言えば違うのですが、決定的に違うのはなんでしょうか?

それは意思表示の強さです。ウェブ検索ではお客さまの行動は基本的に「クリック」だけです。ところが、ECサイトでは最終的に何かを「購入」します。この「購入した」というログの重要性は「クリック」の重要性よりも圧倒的に大きいのです。ですから、検索エンジンを作るときにも、「どのキーワードで何を購入したのか」というログ情報を使うことによって非常に品質が良くなります。この部分にビッグデータ+機械学習を使うわけです。

こうしてできたECサイト向けの検索エンジンは、お客様の購買情報を常に集めて、日々検索結果が変わるようになります。コンビニでは目立つ位置に売れ筋の商品を並べていますが、それと同じことが検索結果でも常に自動的にできるようになります。

私が携わっている検索のことを長々と書きましたが、お付き合いいただきありがとうございます。話を研究会に戻します。

これと同じように現在ではさまざまな業界でビッグデータや機械学習を使っています。それらをネタにみんなでワイワイ話す場所があったら楽しいのではないかと思って立ち上げたのです。私はインターネット業界ですが、それ以外の方にも大いに参加していただき、いろいろな事例について共有できれば良いなと思っています。

これまでの研究会の報告はブログにまとめてありますので、ご覧いただけると幸いです。

またできるだけ現役の学生さんにも参加していただけるように、先生にもお声がけをして学生さんを紹介してもらっています。やはり学生さんがいると盛り上がるので、今後も積極的にお声がけしていこうと思います。

基本的には、「みんなで会って話してその後食事にも行こう」というスタイルの研究会ですので、コロナによって活動が一時停滞してしまいましたが、落ち着いてきたらまた再開したいと思います。

ご興味がありましたら、st-alumni-board@sophiakai.gr.jp  にメールをいただければ次の会のご案内をします。

みなさまにお会いできることを楽しみにしています。

写真など

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